英語学習を続けるのが大の苦手だった私が、気づけば英語学習アプリ「Duolingo」を180日間続けました。
特別な才能や、高いモチベーションは一切ありません。ただ、「仕組み」を変えました。それだけで、あの苦痛だった「やらなきゃ」が、無意識の「やってた」に変わったのです。
この記事では、私が実際に180日間継続するために利用した脳をだます心理設計と、具体的な9つの行動ルールを全て公開します。
英語学習が「やる気」という幻想で続かない理由
正直、以前の私は、英語学習を続けるのが本当に苦手でした。「今日はたぶんやった」くらいの曖昧な記憶でアプリを閉じ、いつも「勉強しなきゃ」という義務感が先に立って、3日坊主で終わるのがお決まりのパターンだったんです。
多くの人が私と同じように、一番不安定な「やる気」を信じて計画を立てて、数日後に挫折しちゃいますよね。でも、あなたの意志が弱いわけではありません。問題は、その習慣設計にあるんです。
勉強を始めようとするたびに、脳は「面倒くさい」と感じるようプログラミングされている。この抵抗を乗り越えようと「根性」や「モチベーション」に頼るのは、実は最もエネルギー効率の悪い方法です。
私は、この「やる気」の幻想から脱却し、自分の意志の力を使わない仕組みに切り替える必要があると気づきました。継続の失敗は、能力不足ではなく、ひとえに設計ミスなんです。だからこそ、心理的な抵抗を最小限に抑えるための環境づくりに集中しました。これで、継続の道筋が劇的に変わったんです。
仕組みがないと意志はもたない
「私は意思が弱いんだ」なんて思わないでください。そうじゃなくて、問題は「やるか/やらないか」を毎日自分で判断すること自体が、脳にとってめちゃくちゃ大きな負担に。心理学では、決定疲れといって、選択肢が多いほど脳が疲弊することが知られています。私たちは日々、何百という小さな決断を下していて、その都度エネルギーを消耗しているわけです。
そのうえ、「今日は疲れているからやめようかな」「まだ時間があるから後でいいか」と判断を先送りするたびに、意志の力はすり減っていきました。だから、私はこの「判断」そのものを放棄することに。
やるか迷う前に、「いつやるか」と「何がきっかけ(トリガー)になるか」を先に固定して、考えるのをやめることにしたんです。これにより、学習を無意識の行動に昇格させ、継続のエネルギー消費が劇的に減りました。「やる」と決めるエネルギーをゼロにすることが、継続への一番の近道だと気づいたんです。
習慣を設計する9つのルール
私が180日間継続できたのは、特別な根性があったからではありません。この9つのルールで学習を「自動運転(オートパイロット)」にしたからです。
① 無料で使える『Toggl Track』で可視化する

Toggl Trackという時間管理アプリを使い、Duolingoの使用時間を数値化。
1日の学習時間をグラフで見ることで、「今日はやっていない」が明確になります。

② できるだけ作業時間を固定する
朝もしくは仕事後に、Duolingoを触るように設定しました。
③ 移動時間は必ずDuolingo
電車やバスの中で、SNSではなくDuolingoを開く。
「座ったらDuolingo」というIf-Thenルール(イフゼンルール)を設定した。
④ 通知設定を活用する
アプリ内の「設定>お知らせ>リマインダー」で時間指定。
23:00に通知が来るようにして、寝る前の習慣を固定。
⑤ 1日抜けても大丈夫と考える
1日サボっても、500ジェムで連続記録を回復できる。
「1日だけなら回復して続けられる」と思うことで心理的ハードルが下がる。
(1日ならいいですが、3日間続くようであれば、習慣を見直しましょう)
⑥ “5分でもOK”ルールを採用する
「5分だけやる」と決めることで、脳の“やる気スイッチ”を先に押すことができる。
この原理は、ズーニンの法則と作業興奮で説明できる。
ズーニンの法則とは、「人は、物事を始めるとその行為を完了させたくなる心理」を指す。
つまり、最初の一歩さえ踏み出せば、脳が“終わらせたい”と自動的に動き出す。
多くの人が「やる気が出たら始めよう」と考えるが、実際は始めるからやる気が出る。
一方、作業興奮とは、心理学者クレペリンによって提唱された現象で、
「作業を始めることで神経伝達物質が活性化し、集中力や意欲が高まる」状態をいう。つまり、やる気は“行動の結果”として生まれる。
私もこれを利用して、「5分だけDuolingoを開く」と決めていた。すると多くの日で、気づけば10分以上続けていました。
始める=続ける、というシンプルな構造をつくるだけで、継続率は大きく変わります。
⑦ 飽きない仕組みを作る
Duolingoには、XP(経験値)などのゲーミフィケーションがある。「勉強」ではなく「レベル上げ」として扱うことで、脳が快感を感じます。
⑧ フレンド機能を、積極的に活用する
フレンドの進捗が見えることで、競争心と仲間意識が生まれます。積極的に自分から連続記録を申請していきましょう。
⑨ トリガーを明確にする
「電車に乗ったら」「トイレを出たら」「歯を磨いたら」など、日常行動に紐づけて英語学習を継続していきましょう。
習慣は、“気分”より“環境”を作る
継続のコツは、「頑張らない設計」に尽きます。Duolingoは無料でも十分な機能があり、ゲーミフィケーション(ゲームのような楽しい報酬設計)によって、自然と続けやすい仕組みが整っている。
そして、このDuolingoの仕組みをさらに強化するのが、Toggl Trackとの併用です。
学習時間がグラフや数字で見えるようになることで、“続いている実感”が強力なモチベーションに変わります。
これは「行動を記録し、継続を強制する仕組み」として機能しているんです。
自分の意志の力を信じるのではなく、環境と数字という客観的な力に継続を委ねてみてください。「やる気がない日」でも、仕組みがあなたの代わりに学習を起動してくれますよ。